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東京高等裁判所 昭和55年(行ケ)345号 判決 1985年12月18日

原告

ビビター コーポレーシヨン

被告

特許庁長官

主文

特許庁が、同庁昭和54年審判第12334号事件について、昭和55年7月7日にした審決を取り消す。

訴訟費用は被告の負担とする。

事実

第1当事者の求めた裁判

1  原告は、主文同旨の判決を求めた。

2  被告は、「原告の請求を棄却する。訴訟費用は原告の負担とする。」との判決を求めた。

第2請求の原因

1  特許庁における手続の経緯

原告(出願時の商号ボンダアンドベストインコーポレーテツドをその後現商号に変更)は、1970年8月24日、同年9月23日、1971年3月8日、同年4月9日、同年6月11日にベルギー国にした各特許出願に基づく優先権を主張して、昭和46年8月24日にした特許出願(同年特許願第64681号)を原出願とする分割出願として、その名称を「自動せん光装置」とする発明(以下、「本願発明」という。)について、昭和49年6月20日、特許出願をした(同年特許願第71819号)が、昭和54年6月4日に拒絶査定を受けたので、同年10月15日、これに対し審判の請求をした。特許庁は、これを同年審判第12334号事件として審理した上、昭和55年7月7日、「本件審判の請求は成り立たない。」(出訴期間として3か月附加)との審決をし、その謄本は、同年7月21日、原告に送達された。

2  本願の特許請求の範囲

トリガ電極を有する電子せん光管に対してエネルギ蓄積キヤパシタに蓄積されている電子を放電させるための電子スイツチを有し、しかもこの電子スイツチと蓄積キヤパシタとせん光管とは直列に接続されており、更に上記電子スイツチとせん光管はせん光開始信号に応動するせん光開始回路と、上記せん光管が発生するせん光を消滅させる必要のあるときに停止信号を発生する制御回路と、この停止信号によつて駆動されて上記せん光を消滅させる回路とから成り、上記制御回路は、受光量が所定値に達すると上記の停止信号を発生する感光素子を含む受光回路と、この受光回路の電圧を調整するための電圧調整器と、上記エネルギ蓄積キヤパシタに蓄積されている電荷によつて予め充電される受光回路用の電源キヤパシタと、上記せん光開始信号に応動して閉路する通常開放状態の第2の電子スイツチとを具備し、この第2の電子スイッチは、その閉成と同時に上記受光回路用の電源キヤパシタを上記受光回路に接続してこの電源キヤパシタが上記受光回路の動作電源として動作できるようにするものであることを特徴とする自動せん光装置。

3  審決の理由の要点

1 本願発明の要旨は、前項の特許請求の範囲に記載されたとおりである。

2 これに対して、昭和45年6月22日に出願された実願昭45-61682号(実公昭48-38174号公報)の願書に最初に添付された明細書及び図面(以下、「引用例」という。)には、「トリガ電極6を有する電子せん光管4に対してエネルギ蓄積キヤパシタ3に蓄積されている電子を放電させるように接続され、該せん光管4はせん光開始信号に応動するせん光開始回路8、13、14、15と、せん光管4が発生するせん光を消滅させる必要のあるときに停止信号を発生する制御回路(Cds32とコンデンサ34からなる受光回路及びこれによつて制御される側路放電管5)と、この停止信号によつて駆動されて該せん光を消滅させる回路(せん光管4を側路放電管5によつてバイパスする回路)とから成り、この制御回路は受光量が所定値に達すると停止信号を発生する感光素子を含む受光回路32、34と、この受光回路の電圧を調整するための電圧調整器(ネオンランプ28と抵抗29及び必要によつては抵抗29の両端に並列にツエナダイオードを接続する回路)と、せん光開始信号に応動して閉路する通常開放状態の電子スイツチ26とを具備し、この電子スイツチ26は、その閉成と同時に上記受光回路32、34にその動作電源を供給するようにした自動せん光装置」が記載されている(以下、引用例に記載された考案を「先願考案」という。)。

3 そこで、本願発明と先願考案とを比較すると、(1) 本願発明では、せん光管に電子スイツチを直列に接続してその発光量を制御するいわゆる直列制御方式を採用しているのに対して、先願考案では、せん光管に電子スイツチを並列に接続してその発光量を制御するいわゆる並列制御方式を採用していること、(2) 本願発明では、エネルギ蓄積キヤパシタから受光回路に供給する電荷をいつたん受光回路用の電源キヤパシタに蓄積しているのに対して、先願考案ではこの様な電源キヤパシタを特に設けていないこと、の2点で相違するが、その他の主要な構成要件及びその作用効果では両者は全く一致しているものと認める。

4  相違点(1)について、自動せん光装置には、本願発明のような直列制御方式や先願考案のような並列制御方式があること及びそれぞれの長所短所はすでに周知の事柄であり、本願発明の場合特に直列制御方式を採用したことに伴つてその特有の工夫をしたものとも認められないから、この点は単なる慣用手段の置き換えにすぎないものと認める。

相違点(2)について、請求人(原告)は、本願発明では電源キヤパシタ208を設けたことにより受光回路の消費電力は該キヤパシタ208の放電電流のみであり、トランジスタ207が導通してもエネルギ蓄積キヤパシタ1からは不要な放電電流が流れないので蓄積キヤパシタ1の充電電荷の浪費防止となる、と主張している。しかしながら、両者はいずれもせん光放電用の蓄積キヤパシタ(本願発明では1、先願考案では3)からの流入電荷によつて受光回路に動作電源を供給している点では全く同じであり、本願発明の場合においても第2の電子スイツチ207が導通していると抵抗40、302及びダイオード210を通して受光回路に蓄積キヤパシタ1側から放電電流が大なり小なり流れ込むことは回路接続上明らかであるのみならず、この種のせん光装置の一般的な性質からみて、せん光管に流れるせん光放電電流に比較して受光回路に供給される電流量やその時間は僅かなものであるから、一時電荷を蓄積しておく電源キヤパシタを単に付加したことによつて請求人(原告)の主張するような蓄積キヤパシタの放電電荷の浪費防止という格別の効果があるものとは認められない。よつて、この点は単なる構造上の微差にすぎない。

以上のとおり、本願発明は先願考案と実質的に同一なものと認められる。

5  本願の発明者、出願人は、先願の考案者、出願人と相違する。

6  よつて、本願発明は、特許法29条の2の規定により特許を受けることができない。

4 審決を取り消すべき事由

審決の理由の要点1、2及び5は認める。同3のうち相違点の認定は認めるが、その余は争う。同4、6は争う。

審決は、本願発明と先願考案の差異を看過し(取消事由(1))、そのため相違点(1)、(2)についての判断を誤り(取消事由(2)、(3))、本願発明を先願考案と実質的に同一なものとの誤つた結論に至つたものであるから、違法として取り消されなくてはならない。

1 本願発明と先願考案の相違点の看過(取消事由(1))

審決は、本願発明と先願考案を対比し、相違点(1)、(2)を除き、「その他の主要な構成要件及びその作用効果では両者は全く一致しているものと認める。」としているが、誤りである。

(1)  本願発明の構成、作用効果は次のとおりである。

(1) 本願発明の構成は、前記2の特許請求の範囲に記載されたとおりである。

(ⅰ) 右特許請求の範囲に記載されたとおり、本願発明の「受光回路用の電源キヤパシタ」は、「上記エネルギ蓄積キヤパシタに蓄積されている電荷によつて予め充電される」ものである(以下、「構成(ⅰ)」という。)。ここでいう「予め」とは、エネルギ蓄積キヤパシタに電荷が蓄積されてから第2の電子スイツチの閉成時までに、を意味し、せん光発光が連続する場合には、せん光消滅時から開始時までであることは、特許請求の範囲に右の「予め充電される」ことが「第2の電子スイツチ………の閉成と同時に………電源キヤパシタが………動作できる」ことに対応して記載されていること、右の「閉成」の期間が次の(ⅱ)に述べるとおり、せん光発光期間であることから明らかである。

(ⅱ) 本願発明の「第2の電子スイツチ」は、特許請求の範囲に「上記せん光開始信号に応動して閉路する通常開放状態の第2の電子スイツチ」と記載されているとおり、通常開放状態であり、ここでいう「通常」とは、閉成期間以外すなわちせん光の消滅時から次のせん光開始時まで、を意味する(以下、「構成(ⅱ)」という。)。

このことは、「通常開放」が「せん光開始信号に応動して閉路する」ことに対比して記載されていること、右「閉路」が本願明細書の実施例におけるサイリスタ6のオンによりベースに負のバイアスが与えられて生ずるトランジスタ207のオンであり、したがつて、その期間がサイリスタ6のオンの期間すなわちせん光発光期間であること(甲第3号証補正明細書7頁12ないし20行、8頁6ないし11行、9頁5ないし7行)、また、右の閉路の期間が本願発明の「この発明は、受光回路をせん光発光の直前、遅くともせん光発光と同時に動作可能状態とし、これによつて上述のような従来の自動せん光装置の欠点を悉く解消することのできる自動せん光装置を提供することを目的とする。」(同3頁12ないし16行)との目的を達成し、後記の効果を得るための必要条件であることから明らかである。

(ⅲ) 右第2の電子スイツチは、「せん光開始信号に応動して閉路」し、「その閉成と同時に上記受光回路用の電源キヤパシタを上記受光回路に接続してこの電源キヤパシタが受光回路の動作電源として動作できるようにするもの」である(以下、「構成(ⅲ)」という。)。

(2) 本願発明は、右の構成により、次の効果を奏する。

(ⅰ) 「この発明による自動せん光装置は、同期接点301が閉成されたときのみホトトランジスタ204を含む受光回路の動作電圧が生成される。しかもこの受光回路の動作電圧は………せん光管3のせん光発光の直前、遅くともせん光発光と同時に生成される。したがつて、受光回路は当該せん光装置がせん光を発したときのみ動作するから、上記せん光による反射光によつてのみキヤパシタ203が充電され、誤動作がなく光量を正確に制御することができる。」(甲第3号証補正明細書9頁8ないし17行)(以下、「効果(ⅰ)」という。)

右の「誤動作」とは、本願明細書の冒頭に記載されているとおり、装置の受光回路が自己の発するせん光以外の光すなわち自己のせん光管の発光期間以外の周囲光や他のせん光管のせん光等に応動して、自己のせん光発光を所定時期よりも早い時期に停止させてしまうことをいう(前同2頁14行ないし3頁2行)。

(ⅱ) 「更にこの発明の装置は、受光回路用の電源としてキヤパシタ208を利用しているため、受光回路の消費電力は該キヤパシタ208の放電電流によるもののみであり、すなわち第2スイツチであるトランジスタ207が導通してもエネルギ蓄積キヤパシタ1から受光回路または受光回路電源回路に不要な放電電流が流れることは無いから、キヤパシタ1の充電電荷の浪費防止と再動作までの期間の短縮との効果を得ることができる。」(甲第4号証2頁17行ないし3頁5行)(以下、「効果(ⅱ)」という。)

この効果は、従来のものの受光回路が自己のせん光発光期間以外の周囲光や他のせん光管のせん光等に応動して、たとえば、せん光管の両端間に短絡回路を作り出してエネルギ蓄積キヤパシタに蓄積されたエネルギを全部放電させてしまうという欠点(甲第3号証補正明細書2頁14ないし20行)を特に直列制御方式において解消するものである。

(3) 本願発明は、構成(ⅰ)の「電源キヤパシタ」と構成(ⅱ)(ⅲ)の「第2の電子スイツチ」とによつて、効果(ⅰ)、(ⅱ)のとおり、誤動作をなくするばかりでなく、並列制御方式に対して直列制御方式の有する長所すなわちせん光発光後のエネルギ蓄積キヤパシタの残存電荷を利用するという長所をそのままに保持することができるという効果を奏するものである。

(2)  先願考案の構成、効果を右に述べた本願考案の構成、効果と対比すると、次の差異がある。

(1) 先願考案は、一たん閉成されるとアノード電圧が消滅するまで開放とならない特性のサイリスタ26により、エネルギ蓄積キヤパシタ3を受光回路32、34にその動作電源として動作できるように接続するものである。

このため先願考案も本願発明と同じく誤動作をなくすることができるが、それは、せん光を消滅させるために、側路放電管5によりエネルギ蓄積キヤパシタ3の残存電荷を放電し尽してその電圧を消滅させる並列制御方式であるからである。

(2) 仮に、先願考案のサイリスタ26によりエネルギ蓄積キヤパシタ3が動作電源として動作できるように接続される受光回路32、34を本願発明と同じ直列制御方式のものにすると、サイリスタ26の最初のせん光発光時の閉成が、そのせん光消滅後もエネルギ蓄積キヤパシタ3の残存電荷の電圧により継続し、残存電荷を消費し尽すまで開放とならなくなるので、本願発明の前記効果が得られなくなるのである。

(3) 以上のとおり、先願考案におけるサイリスタ26(審決が認定した「電子スイツチ26」)と本願発明の第2の電子スイツチとは接続電源、作用効果が異なるのにかかわらず、審決はこの相違点を看過している。

2 相違点(1)についての判断の誤り(取消事由(2))

審決は、相違点(1)について、「本願発明の場合特に直列制御方式を採用したことに伴つてその特有の工夫をしたものとも認められない」と認定している。

しかし、本願発明は、前記の構成(ⅰ)(ⅱ)(ⅲ)により効果(ⅰ)(ⅱ)を得るものであり、このような効果を奏する構成は、先願考案はもとより従来の自動せん光装置にないものであるから、先願考案に対し「特有の工夫をしたもの」というに十分である。したがつて、相違点(1)につき「単なる慣用手段の置き換えにすぎない」とした審決の判断は誤りである。

3 相違点(2)についての判断の誤り(取消事由(2))

(1)  審決は、相違点(2)について、「両者はいずれもせん光放電用の蓄積キヤパシタ(本願発明では1、先願考案では3)からの流入電荷によつて受光回路に動作電源を供給している点では全く同じであり」と判断している。

しかし、本願発明では、構成(ⅰ)について説明したとおり、せん光放電用の蓄積キヤパシタからの流入電荷によつて、「予め」「受光回路用の電源キヤパシタ」を充電し、その後、そこから構成(ⅱ)(ⅲ)のとおりの「第2の電子スイツチ」によつて、受光回路に動作電源を供給しているのに対し、先願考案では、前記1(2)(1)のとおり、エネルギ蓄積キヤパシタ3から直接、本願発明の第2の電子スイツチと構成の異なるサイリスタ26によつて受光回路に動作電源を供給している点で相違する。

(2)  審決は、「本願発明の場合においても第2の電子スイツチ207が導通していると抵抗40、302及びダイオード210を通して受光回路に蓄積キヤパシタ1側から放電電流が大なり小なり流れ込むことは回路接続上明らかである」と認定しているが、これは本願発明が構成(ⅰ)、(ⅲ)を有し、効果(ⅱ)を奏することを看過したことに基づく誤つた認定である。

(3)  審決は、「一時電荷を蓄積しておく電源キヤパシタを単に付加したことによつて………蓄積キヤパシタの放電電荷の浪費防止という格別の効果があるものとは認められない」と判断しているが、本願発明の放電電荷の浪費防止という効果(ⅱ)は、先願考案によつては得ることのできない格別の効果であるから、審決の右判断は誤つている。

第3請求の原因に対する認否、反論

1  請求の原因1ないし3の事実は認める。同4の主張は争う。

2  審決の認定判断は正当であり、原告主張の審決取消事由はいずれも失当である。

1 取消事由(1)について

(1)  本願発明の構成、作用効果についての反論

(1) 構成について

(ⅰ) 本願発明や先願考案が対象とする、いわゆる同期測光式のオートストロボでは、せん光発光と同時に受光回路を動作可能状態にするものであるから、受光回路に供給される電圧源は、第2の電子スイツチの閉成時までに受光回路に電圧を供給できる状態、つまり「予め充電され」ていることは技術的に必須の要件である。それゆえ、構成(ⅰ)は技術的に当然の使用状態を記載したにすぎない。

本願発明の特許請求の範囲に記載されている「予め充電される」とは、単に、せん光開始信号に応動して第2の電子スイツチが閉成し受光回路に動作電圧を加える時点までに充電されているという意味にすぎず、原告が主張するせん光消滅時から次のせん光開始時までの期間に充電されることは本願発明の構成要件でもなければ、これに伴う作用効果についても本願明細書中には何も説明されていない事柄であつて、これをもつて、本願発明の特有の構成とすることはできない。

(ⅱ) 「通常開放状態」が、原告主張のようにせん光消滅時から次のせん光開始時までの期間であることについては、本願明細書中には何も定義付けされていない。また、本願発明は、このための構成をその要旨としていないだけでなく、本願明細書中には特にこのこと、つまり「通常開放状態」がせん光消滅の瞬間から始まることに伴なう作用効果についても全く説明されていない。

ここでいう「通常開放状態」とは、特許請求の範囲に記載されている「上記せん光開始信号に応動して閉路する通常開放状態の………」という構成や明細書中の「同期接点301が閉成されたときのみホトトランジスタ204を含む受光回路の動作電圧が生成される」(甲第3号証9頁8ないし10行)や「受光回路の動作電圧は、……せん光管3のせん光発光の直前、遅くともせん光発光と同時に生成される」(同頁11ないし13行)などの記載からみて、せん光発光の直前まで開放状態とし、理想的にはせん光発光と同時に閉路することをいうのである。つまり、せん光開始信号の直前まで開放されていることのみをいうのであつて、せん光消滅後のどの時点で「通常開放状態」が始まるかは本願発明では全く話題にもされていない事柄である。

(ⅲ) 構成(ⅲ)は、本願発明においても先願考案においても、いずれもが有するその眼目とする共通の構成である。

(2) 効果について

(ⅰ) 効果(ⅰ)について原告の主張する「同期接点301が閉成されたときのみ………受光回路の動作電圧が生成され………」とは、同期接点301が閉成された「瞬間から」受光回路に動作電圧が「印加され始める」ことを意味し、同期接点301が閉成されている「間」だけ受光回路が動作する意味ではない。同様に、「受光回路は………せん光を発したときのみ動作する………」とは、せん光発光装置がせん光を「発し始めた瞬間から」受光回路が「動作を始める」ことを意味し、せん光が続いている「間」動作する意味ではない。

というのは、同期接点が閉成している時間は、それぞれのカメラによつて異なり、ただ同期接点で最も大切なことは、シヤツタの開閉動作とのからみで「接点閉成の開始時点」だけであるからである。また、本願発明や先願考案のような同期測光式のオートストロボでは、せん光発光と同時に受光回路を動作状態とすることは必須であるが、その後は、せん光が消滅した時点で正確に受光回路を不動作状態とするようにしても、またはそれより若干後まで動作状態を続けるようにしても同期測光の作用効果は全く同じであるからである。つまり、「誤動作」の問題は全く生じないのである。なぜなら、受光回路で適正光量を検出し、せん光停止信号を発生する制御回路を動作させ、せん光を消滅させた後は、たとえ、受光回路が未だ若干の時間だけ動作状態を続けたとしても、そこには制御されるものは何も存在しないから、「誤動作」など起りようもないのである。

このことは、せん光を連続発光させる場合であつても一連の各動作、つまり、シヤツタ押し→同期接点閉路→せん光発光→受光回路動作開始→受光→せん光停止制御回路動作→せん光消滅→第2スイツチ通常開放→シヤツタ巻上げ、フイルム巻上げがくり返されるだけにすぎず、全く同じことがいえるのである。

したがつて、効果(ⅰ)は、本願発明においても先願考案においても、いずれもが有する共通の作用効果である。

(ⅱ) 効果(ⅱ)についての原告主張は理由がない。

まず、「受光回路用の電源キヤパシタ」を設けさえすれば、第2の電子スイツチが導通してもエネルギ蓄積キヤパシタから受光回路または受光回路電源回路に不要な放電電流が流れることがない、という効果が当然に生じるものではない。

次に、本願発明と先願考案は、いずれも、エネルギ蓄積キヤパシタからせん光発光用の電気エネルギと受光回路用の電気エネルギがそれぞれ供給されるものであるが、オートストロボの性質上、せん光管内を流れるせん光発光電流に比べて受光回路に供給される電流はほんのわずかな量にすぎず(乙第1号証の1・2)、しかも、両者いずれの場合も、1回のせん光発光に要する時間(先願考案の場合、残存電荷を側路放電管で側路する時間を入れても)は、1000分の1ないし3000分の1秒程度のわずかなものであるから、この間に、エネルギ蓄積キヤパシタの充電電荷が受光回路を通じて浪費するという事態は起りえないのである。また、本願発明の場合、エネルギ蓄積キヤパシタから「受光回路の電源キヤパシタ」にあらかじめ電気エネルギを一時的に移し変えるようにしても、そのことだけによつて、エネルギ蓄積キヤパシタから受光回路に供給される電気エネルギの絶対量に何の変りも生ずるはずがなく、「充電電荷の浪費防止」といつた大きな効果が生じることはありえないのである。

さらに、「再動作までの期間の短縮」という効果は、本願発明が直列制御方式であるのに対して、先願考案が並列制御方式であること、つまり、オートストロボの基本的動作原理そのものが異なることによる一般的かつすでに周知の事柄に基づくものであることは審決の認定するとおりであつて、そこで使用されている「受光回路」とは直接何のかかわりもないことである。

(2)  先願考案の認定についての反論

(1) 先願考案の受光回路は、審決で認定したとおりの構成及び作用効果をもつものであつて、本願発明との相違点の看過はない。

これを連続して発光させる場合について経時的に説明すると、まず、エネルギ蓄積キヤパシタ3が充電された状態で始動スイツチ15を閉成すると、電子せん光管4の発光と電子スイツチ26の閉路とが同時に起り、これによりせん光発光と同時に受光回路33、34の動作電圧が生成される。これによつて、受光回路はせん光を発したときのみ動作するからせん光制御回路を誤動作させることは全くない。このことは、本願発明及び先願考案のいずれもが眼目とする唯一かつ共通の作用効果である。

次いで、自己のせん光による反射光のみによつて受光量が所定量に達すると制御回路が働き、蓄積キヤパシタ3の残存電荷を側路放電管5によつて瞬間的にバイパスさせることによりせん光を消滅させると共に、電子スイツチ26のアノード側が一瞬零ボルトになるため、電子スイツチ26は瞬間的に開路状態に戻るのである。

そして、次の発光のために蓄積キヤパシタ3は急速に充電を始めるが、この時にはすでに電子スイツチ26は開路状態にあり、最初の状態に戻って2回目のせん光発光が始まるまで受光回路への供電を止めている。したがつて、せん光管を連続して発光させても、せん光制御回路を誤動作させることはありえない。

このように、先願考案は、並列制御方式のオートストロボ装置であるから、蓄積キヤパシタ3の電荷を一瞬零になるまで側路放電管5を通じて放電させるものではあるが、その瞬間に電子スイツチ26を開路状態にし、電子スイツチ26はその時点から次のせん光発光が始まるまで、いわゆる「通常開放状態」を続けているのである。審決で認定した「せん光開始信号に応動して閉路する通常開放状態の電子スイツチ26」とは、以上の事実に基づくものであつて、その認定に何の誤りもない。

先願考案の受光回路は右のような構成及び動作を行うものであるから、自己のせん光による反射光以外の光によつて受光回路が動作し、これによつてせん光発光制御回路を誤動作させたり、受光回路自体が蓄積キヤパシタ3の電荷を浪費したりすることはありえないのである。

実際上、本願発明や先願考案の対象になつている同期測光式のオートストロボ(つまり、発光制御の誤動作を避けるため測光回路を自己の発光のときだけ動作させる方式のストロボ)では、受光回路をせん光発光の直前まで不動作状態とし、せん光発光と同時に受光回路を動作させるようにすることは大切であるが、せん光消滅の瞬間から次のせん光発光までの期間では、次のせん光発光の直前で受光回路が不動作状態であればよく、その間のどの時点で受光回路への供電を止めるかは特に問題ではないのである。というのは、一発のせん光が消滅した後、つまり1回目の撮影が終つた後ではせん光発光制御回路の誤動作は問題になりえないからである。要するに、連続して発光させる場合でも、各せん光発光の前(つまり、次の撮影の直前までに)に受光回路を一旦不動作状態にし、次のせん光発光と同時に動作状態にすることが必要なだけである。

(2) 原告は、先願考案を直列制御方式にしたものにつき仮定的に論じているが、このように本願発明や先願考案のいずれでもない第3の装置を論ずる意味はない。

2 取消事由(2)について

本願発明における特別の工夫とは、しいて挙げれば、特許請求の範囲に記載された構成では「予め充電される受光回路用の電源キヤパシタ」を設けることだけである。

しかし、この「電源キヤパシタ」を設けさえすれば、それによつて、第2の電子スイツチが導通してもエネルギ蓄積キヤパシタから受光回路または受光回路電源回路に不要な放電電流が流れない、という効果が当然に生じるものではない。つまり、原告の主張するような作用効果を得るためには、さらにそのための工夫やこれを達成するための細部構成が必要不可欠である。しかるに、この点は本願明細書中に十分に説明されていないのみならず、必須構成要件として特許請求の範囲にも全く記載されていないのである。

したがつて、「特有の工夫をしたものとも認められない」とした審決の認定及びこれに基づく判断に誤りはない。

3  取消事由(3)について

(1)  審決は、本願発明では受光回路への動作電源を蓄積キヤパシタから電源用キヤパシタに一時移し替えて給電しているのに対し、先願考案では蓄積キヤパシタから直接給電している点で違いはあつても、受光回路に給電される電気エネルギは、もともとすべて蓄積キヤパシタから供給されている点で同じである、と述べているのであり、その判断に何の誤りもない。

(2)  前記のとおり、原告が主張する本願発明の効果(ⅱ)の「トランジスタ207が導通してもエネルギ蓄積キヤパシタ1から受光回路または受光回路電源回路に不要な放電電流が流れることは無い」という効果は、特許請求の範囲に記載された本願発明の要旨とする構成に基づく効果ではない。つまり、「予め充電される受光回路用の電源キヤパシタ」を設けさえすれば、トランジスタ207(第2の電子スイツチ)が導通したとき蓄積キヤパシタ1から受光回路側に放電電流が流れこまない、という効果が当然に生じるものではない。このことは、本願発明の実施例に、エネルギ蓄積キヤパシタ1、電源用電解キヤパシタ208の各電圧や抵抗209の両端に生じる電圧降下、さらにはトランジスタ207、ダイオード210の特性が具体的に何も示されていないことからも明らかである。

したがつて、取消事由(3)(2)の原告主張は、誤つた前提に立つた主張であつて理由がない。

(3)  審決は、一時移し替え用の電源キヤパシタを付加しただけで受光回路を通して流れる電流の絶対量に差が生じるわけがなく、この点からみても充電電荷の浪費防止など考えられない、と述べているのである。

原告の主張する効果(ⅱ)すなわち直列制御方式が有する残存電荷を利用するという長所は、審決が認定するとおり、オートストロボにおける直列制御方式と並列制御方式の基本的原理の違いに基づく長所・短所であつて、これは受光回路の構成がどうであるか、あるいは受光回路自身があつてもなくても全く関係のないオートストロボそのものの基本構成の違いに基づく効果の違いにすぎない。

したがつて、「格別の効果があるものとは認められない」とした審決の判断に誤りはない。

第4証拠

本件記録中の書証目録の記載を引用する。

理由

1  請求の原因1ないし3の事実は当事者間に争いがない。

2  そこで、原告主張の審決取消事由(1)、(2)について検討する。

1 取消事由(1)について

(1)  本願発明の要旨が前記当事者間に争いのない請求の原因2の特許請求の範囲に記載されたとおりであることは当事者間に争いがない。

右事実と成立に争いのない甲第2号証の3、第3ないし第5号証により認められる昭和53年8月25日付、昭和54年5月8日付及び同年11月14日付の手続補正書によつて補正された本願明細書及び図面(以下、「本願明細書」という。)によれば、本願発明に係る自動せん光装置は、審決の認定するとおり、せん光管とこのせん光管に対してエネルギ蓄積キヤパシタに蓄積されている電荷を放電させるための電子スイツチを直列に接続してその発光量を制御するいわゆる直列制御方式のものであつて、特許請求の範囲に記載されている「エネルギ蓄積キヤパシタに蓄積されている電荷によつて予め充電される受光回路用の電源キヤパシタ」と「せん光開始信号に応動して閉路する通常開放状態の第2の電子スイツチ」とを具備し、「この第2の電子スイツチは、その閉成と同時に上記受光回路用の電源キヤパシタを上記受光回路に接続してこの電源キヤパシタが上記受光回路の動作電源として動作できるようにするものである」構成を有するものであることが認められる。

そして、一般に直列制御方式の自動せん光装置にあつては、並列制御方式のものがせん光発光ごとにその電源キヤパシタの残存電荷を側路放電回路により放電し尽すものであり、したがつて、次の発光のためにその電源キヤパシタを零の状態から充電し直すものであるのに対し、残存電荷を放電し尽さず、したがつて、次の発光までの充電期間を短縮できるという長所を有するものであることは周知の事柄であり、この点については当事者間に争いがない。

(2)  右事実を前提にして、本願発明の第2の電子スイツチの「通常開放状態」の意味について検討する。

前掲甲第3号証によれば、本願明細書の発明の詳細な説明の項には、「被写体からの反射光を検知し積分して、その積分値が所定値に達したときにせん光管のせん光発光を打ち切るように動作する受光回路を具えた自動せん光装置は既に知られている。しかしながら、従来の大部分の自動せん光装置では、受光回路はせん光管によるせん光発光の有無には関係なく動作可能状態にあるため、この受光回路が周囲光あるいは他のせん光装置のせん光等に応動して、例えば………せん光発光を所定時期よりも早い時期に停止させてしまうという欠点があつた。」(同号証補正明細書2頁10行ないし3頁2行)と従来装置の欠点を指摘し、本願発明は従来装置のこのような欠点を解消することを目的とする旨が記載されているから、本願発明は、せん光発光後次のせん光発光までの間に受光回路が周囲光あるいは他のせん光装置のせん光等に応動しないようにすることを意図しているものであることが認められる。

そのための構成として、本願発明は「受光回路をせん光発光の直前、遅くともせん光発光と同時に動作可能状態と」すること(前同3頁12・13行)、すなわち、第2の電子スイツチを「せん光信号に応動して閉路する」ものとしたことは、前記特許請求の範囲の記載に照らし明らかである。

一方、前記のとおり、本願発明の装置はいわゆる直列制御方式を採用しているから、そのせん光管発光のための電荷を蓄積するエネルギ蓄積キヤパシタ及びこのエネルギ蓄積キヤパシタに蓄積されている電荷によつて予め充電される受光回路用の電源キヤパシタの残存電荷は、せん光発光後放電し尽されずに、例えば連続発光の場合次の発光のために利用されることがあるものであることが明らかである。そうとすると、受光回路が所定の反射光を受光し制御回路からせん光停止信号を発生させてせん光管の発光を所定時期に停止させた後も右電源キヤパシタが受光回路の動作電源として接続されているとすると、受光回路が周囲光あるいは他のせん光装置のせん光等に応動し、これにより受光回路の積分コンデンサ(本願明細書の実施例の回路におけるコンデンサ203)が電荷を蓄え、その積分量が次の発光時における積分量に加算されて、次のせん光発光を所定時期より早く停止させることになり、従来装置と同じく受光回路の動作を誤らせることになることが明らかである。したがつて、従来装置の前記欠点を解消することを目的とする本願発明において、せん光管の発光停止と同時に第2の電子スイツチを開放して受光回路への電源接続を断つことは、その構成に欠くことのできない事項と認められ、前掲甲第2号証の3によれば、本願明細書の図面(別紙第1図)に掲げられた本願発明の唯一の実施例における回路構成は右の機能を持つものとして示されていることが明らかである。

右事実によると、本願発明の特許請求の範囲の「通常開放状態の第2の電子スイツチ」とは、原告の主張するとおり、せん光消滅時から次のせん光開始時まで第2の電子スイツチが開放されていることを意味するものと認められ、この第2の電子スイツチを含む受光回路の働きにより、本願発明は、直列制御方式の有する長所すなわちせん光発光後のエネルギ蓄積キヤパシタの残存電荷を利用して再動作までの期間を短縮できるという長所を保持しながら、誤動作をする場合があるという従来装置の欠点を解消する効果を奏するものと認められる。

被告は、「通常開放状態」がせん光消滅の瞬間から始まることは本願発明の要旨とは認められず、これに伴う作用効果も本願明細書に説明されていない旨主張するけれども、本願明細書の記載と被告も認める従来周知の直列制御方式の有する長所とを合わせ検討し、特許請求の範囲に「上記せん光開始信号に応動して閉路する」ことを「通常開放状態」と対置させて記載しているところを含め、その記載を合理的に解釈すれば、前記のとおり本願発明の構成とその奏する効果を理解できることは明らかである。被告の右主張は失当といわなければならない。

(3)  一方、先願考案の自動せん光装置が、審決認定のとおり、せん光放電管と充放電コンデンサに蓄積されている電荷を放電させる電子スイツチを並列に接続してその発光量を制御するいわゆる並列制御方式のものであつて、成立に争いのない甲第6号証によれば、先願考案におけるサイリスタ26は、充放電コンデンサ3(本願発明におけるエネルギ蓄積キヤパシタに相当する。)を本願発明のように受光回路用の電源キヤパシタを用いないで直接光検知回路(本願発明における受光回路に相当する。)の電源として接続するための開閉手段であり、せん光放電管4の発光と同時に閉路するものであつて、これにより右充放電コンデンサ3に並列に接続されているサイリスタ26―抵抗27―ネオンランプ28―抵抗29からなる回路の抵抗29の両端に発生する定電圧をもつて光検知回路の動作電源とするものであること、そして、一たん閉路したサイリスタ26は、せん光放電管4の発光による反射光を光検知回路が所定の受光量まで受光し制御回路を働かせ、充放電コンデンサ3の電荷を側路放電管5を介して放電させることにより、せん光を消滅させた後、サイリスタ26のアノード電圧がサイリスタ26の導通を維持するに足りる電圧以下に降下することにより開路されるものであることが認められる(別紙第2図参照)。

このように、先願考案におけるサイリスタ26は、厳密にいえば本願発明の第2の電子スイツチがせん光消滅と同時に開路されるのに対し、せん光消滅後若干の時間をおいて開路されるものではあるが、先願考案は前記のとおり並列制御方式を採用しており、かつ、別紙第2図の回路から明らかなように光検知回路の積分コンデンサ34に並列に抵抗33を接続する回路構成をとつているから、仮に右せん光消滅後サイリスタ26の開路する若干の時間の間に周囲光あるいは他のせん光装置のせん光を受光し、これにより右積分コンデンサ34に電荷が蓄積されたとしても、零まで放電された充放電コンデンサが発光可能状態になるまで充電される間に、積分コンデンサ34の電荷は並列抵抗33を通して放電されることになるから、次のせん光発光の際の誤動作は生じないものと認められる。

(4)  以上の事実によれば、本願発明における受光回路用の電源回路の構成は、エネルギ蓄積キヤパシタに蓄積されている電荷によつて予め充電される受光回路用の電源キヤパシタを設けた点及びせん光発光信号に応動して閉路しせん光消滅と同時に開放状態となる第2の電子スイツチによつて、右閉成の間だけ受光回路用の電源キヤパシタを受光回路に接続して受光回路を動作させる点において、先願考案の受光回路用の電源回路とは、その構成を異にするものであることが明らかである。

したがつて、審決が、本願発明と先願考案とは相違点(1)、(2)で相違するがその他の主要な構成要件では両者は全く一致しているものと判断したことは誤りといわなければならない。

2 取消事由(2)について

本願発明がその受光回路用の電源回路の構成において先願考案とその構成を異にし、この構成により、直列制御方式の有するせん光発光後のエネルギ蓄積キヤパシタの残存電荷を利用して再動作までの期間を短縮できるという長所を保持しながら、誤動作をしないという効果を奏するものであることは、前叙のとおりである。この誤動作をしないという効果は、本願発明と先願考案がともに有するものではあるけれども、前示認定の事実によれば、先願考案においては並列制御方式を採用したことにより自ら生ずる当然の効果というべきであるのに対し、本願発明においては直列制御方式を採用しながら前示の受光回路用の電源回路の構成をとることによつて始めて得られる特別の効果というべきものと認められる。そして、本願発明における前示の受光回路用の電源回路の構成が本願出願前周知慣用のものであつたことは、本件全証拠によつても認めることができない。

したがつて、相違点(1)について、審決が「本願発明の場合特に直列制御方式を採用したことに伴つてその特有の工夫をしたものとも認められないから、この点は単なる慣用手段の置き換えにすぎない」と判断したことは誤りといわなければならず、ひいては、この誤つた判断を前提に本願発明が先願考案と実質的に同一とした審決の結論もまた誤りであることが明らかである。

3  以上のとおりであるから、その余の点について判断するまでもなく、審決は違法として取消を免れない。

3  よつて、原告の本訴請求は理由があるから、これを認容し、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法7条、民事訴訟法89条を適用して、主文のとおり判決する。

(瀧川叡一 牧野利秋 清野寛甫)

<以下省略>

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